久留米工業高等専門学校 本文へジャンプ
現代GPこれまでの試み
久留米高専の共同研究


本取組みに至るまで,久留米高専では,地域貢献,学生教育,教員の経験の3つの目的を掲げて,地域企業との共同研究,委託研究を実施してきました。以下には,本取組みにつながっている,共同研究の推移について紹介します。

久留米高専における共同研究件数の推移
 平成12(2000)年に産学民連携推進センターの組織を立ち上げ, 以来,精力的に共同研究を実施してきました。下のグラフに共同研究件数の推移を示しました。2000年から共同研究の件数が急激に増加し,2002年には20件超を達成し,以後,この件数を維持しています。共同研究の目的は当初,地域企業・社会への貢献でしたが,次第に学生が共同研究に参画するようになり,現在では,共同研究の目的が地域企業・社会への貢献に加えて,学生の実践教育の場の提供に拡大されています。


生物応用化学科の共同研究
 下のグラフは,専門学科(機械工学,電気電子工学,制御情報工学,生物応用化学,材料工学),一般科目(一般理科,一般文科)7部門のうち,生物応用化学科の共同研究件数の推移を示したものです。

生物応用化学科の共同研究と卒業研究
 下図は,生物応用化学科の卒業研究の件数に占める共同研究の割合の推移を示しました。2001年度から卒業研究のテーマに共同研究が取り上げられ,共同研究に学生が参加するようになりました。現在では,卒業研究の全体件数のうち,40%が共同研究となっています。現代GPの取り組みでは,50%の共同研究比率を目標としています。
 教員研究とは,公費分配金,科学研究費補助金,その他補助金を使って教員が中心となって遂行する研究のことです。

生物応用化学科の共同研究と卒業研究の展望
 生物応用化学科は,大きくは物質工学科の範疇に入ります。久留米地域の伝統的産業であるゴム関連工業や樹脂加工のメーカーとは分野が非常に近く共同研究を立ち上げやすい環境がありました。また,生物応用化学科は,1996年に工業化学科から改組され,工業化学に加えて,新たにバイオ関連コースが並列しており,発酵工業,医薬品工業,食品工業分野に多くの技術者を送り出すことが期待されています。現在,福岡県南の久留米地域を中心にバイオバレー構想が進められています。ここに立ち上がるであろうバイオベンチャー企業にもバイオテクニシャンの供給が久留米高専に求められています。
 本取組みでは,この要請に応えていくため,行政機関と久留米近郊で出土される弥生時代の甕棺(かめかん)の人骨のDNA解析のテーマも含まれています。考古学との学際領域の問題解決の遂行により,バイオテクニシャンの育成と地域の歴史学への貢献ができるものと考えています。
 これからも,ゴム,ポリマー成形加工,食品,環境,バイオベンチャーの企業との共同研究を立ち上げ続け,学生の実践的技術者教育とともに,地域社会への貢献を行っていきます。