取組みの背景

 福岡県を中心とした北部九州は、トヨタ自動車九州、日産自動車九州、ダイハツ九州などの国内主要メーカーの工場集積が進み、中部地域に次ぐ国内の生産拠点となっています。これに伴い、サプライヤーと呼ばれる関連産業の進出も著しく、地域企業は部品供給の新たな受け皿として、生産能力及び情報技術力の向上が求められているところです。加えて自動車メーカー各社は、北部九州での設計・開発能力を強化し、優秀な人材確保の面からも産学連携に期待を寄せています。

取組みの目的

 自動車に代表される現代の装置は、機械工学や電気、電子、情報、材料など、分野の技術を集約した装置です。設計プロセスで創出される。設計プロセスで創出される機械要素設計技術が、性能や安全性を左右します。

本校は設立以来、歯車やボルトの設計・加工・性能評価の分野で高い評価を受けてきました。現在は更に3DCADを中心としたCIMS=デジタル・エンジニアリングによる、企業ニーズに対応した研究・教育を進めているところです。

 本取組の目的は、伝統的に評価の高い加工実習教育と、近年実績を上げてきている3DCADを中心とした設計教育を、CIMSとしてさらに充実・展開することにより、今後の社会で求められる高度な技術力を備えた人材を育成することにあります。

 独立行政法人化以降、本高専にあっても地域支援のための取組みが、特に重要な課題となっています。高専の今後の役割をさらに高めるためには、地域・企業との新しいパイプづくりが必要です。

 近年の自動車関連産業の移転・集積は、本高専にとって産学連携を図る好機と捉えています。機械技術の集積した自動車の製品製造に欠かすことの出来ない機械要素部品の供給に、地場中小企業が参画してゆくためには、CIMS能力の向上が欠かせません。

 平成18年度より進めている3DCADを導入した公開講座を発展させ、材料強度・熱・流体・機構・制御などのCAEによるシミュレーション解析、ラピッド・プロトタイピングやCAMによる加工・製造分野への応用など、体系的なCIMS研究・教育体制を整え、地域企業支援をさらに推進しようとするものです。

取組みの成果

 取組みの成果として、SolidWorks社の行うCSWA認定試験実施による学生のスキル向上及び、日本機械学会が進める「公認CAE技能講習会」計三力学技術者などの資格認定機関の指定を受け、修了者の資格認定を目指します。

 また、学生は社会人向け公開講座においてTA(ティーチング・アシスタント)として参加することにより、企業動向を直接把握・実体験することができます。

取組みプログラム

 公開講座の機会を活用し、学校と地域・企業の双方向の連携交流を通じて、新しい研究テーマを開拓し、機械工学専門教育の教材に還元し、共同研究などの産学連携事業の推進に往還するPDCAサイクルの構築を目指すものです。

 本学科がCIMSを核として進める取組みを、本校他学科や地域の教育機関との連携協力を深めることで、学科間・学校間の相乗的な効果を生み出すことを促します。

 実施にあたっては、本学科を中心に、本校産学民連携推進センターがハブとなり、福岡県や佐賀県、久留米市、鳥栖市などの行政機関、公設研究機関との連携をとり、取組みの円滑で効果的な運営に努めます。

取組みプログラム